音楽

癒しの贈り物     

音楽

   

音楽は人生のスパイス


  何をいまさら、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。それほど当たり前に音楽は私たちの生活に入り込み、自然と心を癒してくれているのです。誰もが、気に入った音楽を聴くことで勇気や元気が出てきた思い出があると思います。

 きっかけは人それぞれでしょうから、一つの例として聞いてください。僕がはじめて音楽を聴いて強く心に残った曲は、今から40年ほど前の小学生の頃〔1960年代〕、いとこのお兄ちゃんがしょっちゅう聴いていた洋楽でした。

 中でも、ジェファーソン・エアプレインの「あなただけを」は、ボーカルの女性のパンチの効いた声がたまらず、一生懸命出だしの部分を口ずさんでいたものです。

 それから、スコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」は、45回転のEP盤いわゆるシングル盤といわれるレコードで、お兄ちゃんがプレーヤーの真ん中にアダプターを使ってセットしている姿が思い浮かぶのです。訳の分らない英語の歌詞を耳だけで覚えた気になり歌ってました。シーカーズの「ジョージ・ガール」も懐かしいですねえ。

 もちろん、ビートルズは33回転のLPレコードで聴かせて貰いました。直径30
cmもある黒いレコード盤がゆっくり回転し、その上に慎重に針を置くお兄ちゃんの様子とともに、軽快なビートルズの曲が流れてくると子どもながらわくわくしたものでした。

 「HELP]や「イエローサブマリン」「シー・ラヴズ・ユー」「抱きしめたい」
「カム・トゥ・ギャザー」「ロング・アンド・ワインディング・ロード」「ヘイ・ジュード」
「レット・イット・ビー」一つ一つの題名を唱えただけでもあの頃の様々なシーンがよみがえってきます。

 中学に入ると、同級生の影響を受けて、サイモンとガーファンクルの澄み切った歌声に魅了されます。「サウンド・オブ・サイレンス」「ボクサー」「明日に架ける橋」「スカボロー・フェアー」「ニューヨークの少年」「アメリカ」「バイバイ・ラヴ」
「オールド・フレンド」などなど。

 高校受験で気が滅入った時にはよく聴かせて貰いました。初恋の時期ともぶつかり、一生懸命詩を解釈し自分のドラマに重ね合わせたものでした。曲が流れただけで突然目の前にその時の風景や人々の様子が現れるような気がします。


 洋楽だけではありません。クラッシックもいくつか記憶に残されています。多分、小学校高学年の頃だったと思います。鑑賞の時間に聴かされたのが、シベリウスの「フィンランディア」でした。

 鑑賞の時間といえば大体がお休みの時間と決まっていたのに、このときだけは曲が流れ始めた途端、むくりと顔を上げ耳を大きく広げて聴き入ってしまったのでした。そしてなぜか急いで作曲者と曲名をメモしたのです。ロシアの圧政に苦しんでいたフィンランドの独立に大きな役割を果たしたといわれるほどの偉大な交響詩です。

 そんなことをまるで分るはずもない日本の田舎の一小学生にこうした行動をさせた力は凄いものです。音楽の持つエネルギーの大きさを実感します。

 中学生のときは、音楽の聞き取りテストで友達同士持分を決めて協力体制を組みました。そして自分の覚えた曲が流れたらサインを送ることにしたのです。その時僕が覚えたのが、サラサーテの「チゴイネルワイゼン」でした。

 今でもあの名器ストラディバリウスで奏でられるイントロとさびの部分はしっかり諳んじることができます。テストには見事にこの曲が出され友達にも感謝されたものです。

 音楽がもつ不思議な力。これからも何かとお世話になるに違いありません。ただただ感謝です。
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